平成の艶

心の艶の在処。


古来、日出ずる国と云われてきた日本において、
昇る太陽の色、または炎や情熱を連想させる色、赤。
女性は赤い衣を纏うとき、何か艶めいた心持ちになる。
この「艶」という言葉の発生は古く、
日本文学の美意識の一つとして源氏物語にも多用されている。
優美であって数奇なるもの。それがそもそもの「艶」。
私が女性の美しい姿を思い描くとき、
そこに「艶」と「品」の存在は不可欠であると考える。

平安時代の貴族の「ふるまひのやさしい」女性たちにおいては
もちろん「艶」の中に「品」が存在していた。
現代は、女性も「自分の意志を貫いて生きる」ことができる時代だ。
「艶」と「品」に、「意志」が備わった女性。
しなやかで強くうつくしい女性が新緑のコキアの中で
凛とした眼で未来をみつめる。心の艶を求めながら。
艶やかな赤と常若と云われる松葉を組み合わせが
彼女の艶と生命力を表現しているようにも見える。
(文・鳥島悦子)

“Heisei no Tsuya” (2016)
  • Producer & Hair / Etsuko Torishima
  • Assistant Producer / Mahiro Shida
  • Make / Kei Sato
  • Photographer / Yoshiyuki Watanabe
  • Art Director / Tsuyoshi Fukuda
  • Designer / Tatsunori Shimizu

松葉抄

松葉抄matsubasyo
安土桃山時代の大胆な柄ゆきの
小袖のイメージして制作した色打掛。
小さな松葉を大きく配置して、
様々な違った松の紋様をちりばめたデザインは
大胆かつ繊細であり、
配色と紋様の楽しさに溢れている。
紋様にこめられた意味を
ひとつひとつ紐解くのも楽しみのひとつ。