平成の粋

来た道、行く道。


日本固有の美的観念である「粋」は
江戸深川の芸者のことを語ったのが始まりと言われている。
現代において、この「粋」という言葉を使う機会は少ない。
江戸時代の「粋な身なりや振る舞い」は
着物と距離ができた現代人が取り入れ難いのかもしれない。
しかし、現代人でも、例えば夏の花火を観るときに
「浴衣をさらりと着こなしたい。」と思ったり、
着物を纏う所作の美しさに拘ったりするものだ。

「生き方」としての「粋」は現代でも応用可能だ。
また「粋」は、平凡や理不尽に出会った時でも、
その中に輝きを見出す「生き方の妙」のようにも感じる。
西洋化を急いだ故に置き去りになってしまったが、
しっかりと後世に伝えて行きたい日本の美しさの一つだ。
今回の作品では「覚悟」を持って生きる人を描いた。
覚悟を持って向かう人の横顔は凛々しく、美しく、
その姿は紛れもなく、「粋」だ。
(文・鳥島悦子)

“Heisei no Iki” (2017)
  • Producer & Hair / Etsuko Torishima
  • Assistant Producer / Kumiko Hasegawa
  • Make / Kei Sato
  • Photographer / Yoshiyuki Watanabe
  • Art Director / Tsuyoshi Fukuda
  • Designer / Tatsunori Shimizu

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薄衣 青藍usugoromo-seiran
潔いほどの白掛下の上に
幻想的な世界を表現するために、
透明感のあるオーガンジーで打掛を制作。
青藍の他、墨、紅、などの薄衣があり、
表現したいテーマによって
掛下の色との重ね色を楽しむことができる。