平成の雅

美的観念とよろこびが
創り出す情景


日本人の美的観念について時代を遡ってみる。
もののあはれ、艶、幽玄、雅…。
千年も昔の言葉に思いを馳せてみると、
そこにはそれまで知らずに過ごしてきた「美」が
数多く存在していた。
そして、ある人は言う。
「過去置き去りにしたものの中に
大切なものがたくさんある。振り返って拾い、
未来へ繋がなければならない。」と。

今回モデルが着用している打掛は尾形光琳による
国宝『紅白梅図屏風』を本歌として作成した。
咲く時を心得て、時を待って一斉に咲き誇る
梅の花々と滔々と流れる時の川。
宇宙万物に宿る「命」とそこに存在する「時」。
そして「着る人のよろこび」が中心に置かれて完成する世界。
そこに現れるのは「雅」な世界か、「幽玄」な世界か。
着る人の心持ちによって、その情景は変わる。
(文・鳥島悦子)

“Heisei no Miyabi” (2016)
  • Producer & Hair / Etsuko Torishima
  • Assistant Producer /
    Mahiro Shida, Mariko Fukusawa
  • Make / Kei Sato
  • Photographer / Yoshiyuki Watanabe
  • Art Director / Tsuyoshi Fukuda
  • Designer / Tatsunori Shimizu

紅白梅図

紅白梅図打掛kohakubaizu-uchikake
尾形光琳による国宝
「紅白梅図屏風」を本歌として作成。
花嫁の着姿を想定し、より華やかになるように
屏風とは紅白梅を逆に配置。
時を心得て、一斉に咲き誇る梅の花々と
滔々と流れる時の川。
宇宙万物に宿る「命」とそこに存在する「時」。
そして「着る人のよろこび」が
中心に置かれて完成する世界を
想像してみてください。