平成の琳派

時代を超えて愛される
宗達、光琳に憧れて。


「時代を超えゆくもの」を考える。
国宝『風神雷神図屏風』で広く知られる俵屋宗達。
ユーモラスでいて力強い、おおらかなその作風からは
表現そのものを楽しむ宗達の姿を想像することができる。
後に現れた江戸時代中期を代表する画家・尾形光琳は、
絵師としての非凡な意匠感覚もさることながら、
人の心を掴むアートディレクターとして
卓越したセンスを持っていたと感じている。

今回はその光琳の『八橋図屏風』を本歌として
縁-enishi-のエスプリを加えたオリジナルの打掛を制作。
着物を通して人の心に届けられるもの。
美しいものを纏う悦び、それを眺める悦び。
「そんな人の悦びを創造したい」という想いから生まれたこの作品は、
笹川流れの蒼い岩肌の中で、黄金の輝きを放った。
古(いにしえ)の日本人の感性が脈々と流れるこの打掛は
現代においても普遍的な印象を与える。
(文・鳥島悦子)

“Heisei no Rinpa” (2015)
  • Producer / Etsuko Torishima
  • Assistant Producer / Kumiko Hasegawa
  • Hair Make / Kei Sato
  • Photographer / Yoshiyuki Watanabe
  • Art Director / Tsuyoshi Fukuda
  • Designer / Tatsunori Shimizu

八つ橋図打掛

八橋図打掛yatsuhashizu-uchikake
金通しの市松柄の白生地を金屏風に染め、
手書き友禅で杜若を描き、
八橋は金箔を施した上から古色を加えた。
そして、裾に見える「ふき」の色は、
濃蘇芳に染めあげた。
尾形光琳・八橋図屏風のオマージュ作品。