「時代を超えゆくもの」を考える。
国宝『風神雷神図屏風』で広く知られる俵屋宗達。
ユーモラスでいて力強い、おおらかなその作風からは
表現そのものを楽しむ宗達の姿を想像することができる。
後に現れた江戸時代中期を代表する画家・尾形光琳は、
絵師としての非凡な意匠感覚もさることながら、
人の心を掴むアートディレクターとして
卓越したセンスを持っていたと感じている。
今回はその光琳の『八橋図屏風』を本歌として
縁-enishi-のエスプリを加えたオリジナルの打掛を制作。
着物を通して人の心に届けられるもの。
美しいものを纏う悦び、それを眺める悦び。
「そんな人の悦びを創造したい」という想いから生まれたこの作品は、
笹川流れの蒼い岩肌の中で、黄金の輝きを放った。
古(いにしえ)の日本人の感性が脈々と流れるこの打掛は
現代においても普遍的な印象を与える。
(文・鳥島悦子)